「柳橋に日本一が二つあり、料理鶴清、目明し金兵衛」と狂歌にまでよまれたその料亭鶴清では、主人の清右衛門の死後、内儀おみねは毎日酒と男との乱行を続けていた。明日に迫った「たのしみ会」におみねは役者粂之丞と「かさね」を踊る趣向をきめる。来月の中村座には粂之丞のためにみねの名前で引幕をおくることを約した。
「柳橋に日本一が二つあり、料理鶴清、目明し金兵衛」と狂歌にまでよまれたその料亭鶴清では、主人の清右衛門の死後、内儀おみねは毎日酒と男との乱行を続けていた。明日に迫った「たのしみ会」におみねは役者粂之丞と「かさね」を踊る趣向をきめる。来月の中村座には粂之丞のためにみねの名前で引幕をおくることを約した。昔から縁起の悪い「かさね」を、息子の新太郎は妻お品が妊娠中だけに恐れて、極力反対したがみねはうけつけなかった。粂之丞は芸者小芳といい仲なのをおみねは知るよしもない。一方目明し金兵衛は人呼んでいねむりの金兵衛といい、いねむりが覚めた途端に犯人がわかるという。金兵衛の娘お光も女だてらに投げ縄の天才で「捕物小町」とよばれ、婿の文七もにやりの文七とあだなされて、近ごろ売り出しの目明しである。捕物の腕は名人だが、金兵衛文七の玉にきずは大の将棋好きで、ひまさえあれば盤...
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